リハビリのお仕事
「そいぱ」は医療従事者として働いています。
一般的に言う作業療法士というやつで、主にお怪我やご病気で体が不自由になってしまった人のリハビリテーションに従事しております。
リハビリを必要とする人には脳血管疾患や神経難病、大腿骨の骨折など中高年に多い疾患を対象とすることが多数ですが、リハビリは作業療法士や理学療法士でなければできないというわけではありません。もちろん、そのような資格がなくてもリハビリはできます。
でも、体に良かれと思ってやっているリハビリが逆に痛みを誘発していたり、体の動きにくさを作ってしまっているとしたら…ちょっとこわいですよね。
筋トレの意味
病院などでリハビリが必要な方によく言われるのが「筋力低下」。
立ち上がるために筋力をつけましょう。
歩くための筋力をつけましょう。
起き上がるために筋力をつけましょう。
お医者さんなどの医療従事者から、そう言われたら筋トレしなきゃって思いますよね。
でも私がリハビリの仕事をしていてよく感じるのが、筋トレのしすぎで痛みが出ているなぁ。とか、筋トレしているけど本当に必要な筋肉は働いてないなぁ。とか…。
私が思うに、一般的に言う「筋トレ」って身体機能に問題がない人の体の鍛え方なんだと思います。
麻痺などで体に不自由があったり、骨折などで痛みが強かったりすると筋肉は想像以上にうまく働いてくれません。
例えば、腕が痛くてお医者さんに相談したら「腕を上げる筋トレをしましょう!」って言われたとします。
でも健常人の腕の上げ方と、肩が痛い人の腕の上げ方では使っている筋肉が違うことがあります。
結果的に腕は上がっているので、腕が痛い人もこれで良しとしてその筋トレをしますが、健常人のようにバランス良く腕を上げる筋肉が働いておらず、筋肉の働きに偏りが生じます。
この状態で筋トレを続ければ、働き過ぎの筋肉と全く働いていない筋肉のバランスが崩れ、やがて痛みが生じてきます。すると「あれー?ちゃんと筋トレしてるのに痛み抜けないなぁ」みたいなことが起こってくるわけです。
なのでお医者さんの言う「筋トレをしましょう」という言葉の裏には「あなたの状態に合った筋トレをしましょう」って意味が込められているのです。
なので我々のような資格を有した理学療法士や作業療法士がいるのです。
筋トレって難しい
なのでリハビリが必要な人の筋トレって想像以上に難しいんです。
最近ではマシントレーニングなどもリハビリとして利用されていますが、ちゃんと狙った筋肉がうまいバランスで働いているか、周りの筋肉との関係性はどうなっているか、その筋トレで何を獲得しようとしてるのか、その辺を専門家に相談しながら行わないと体壊しちゃいます。
自己判断で無理に行わない方が良い場合もありますので、注意が必要ですね。
よくテレビで「健康のために〇〇運動がおすすめ!」みたいなこともやっておりますが、あくまで健常人向けだと思います。
だって今までいろんな人とリハビリしてきたけど、誰ひとりとして同じようなお体の方はいませんのでね。それぞれの人に合ったリハビリプログラムがあるわけです。
脳血管疾患の「麻痺」
お仕事でリハビリをしていると良く出会うのが脳血管疾患を患ってしまった人。
いわゆる腕や足が動かなくなる麻痺がある人ですね。
今、日本国内で介護が必要となる人の約半数は脳血管疾患が原因であると言われています。
約半数…介護が必要な人の約2人に1人は脳血管疾患…恐ろしいですね。
そんな脳血管疾患の人によくある特徴というのが「目に見えづらい麻痺」です。
一般的に麻痺というと手足に障害が出るのが主症状だったりして生活に支障をきたしますが、結構な割合で麻痺が体幹に及んでいることがあります。しかもコレに気づかない人が多いんです。
手足は左右に一本ずつあるので、麻痺して動かなくなったら「あ、右手が動かない」ってな感じですぐに分かりますが、体幹はひとつですから例え右側の体幹が麻痺していたとしても左側の体幹で何とか動作できちゃうんですよね。
しかも体幹は大きく分けてアウターマッスルとインナーマッスルがあって、インナーマッスルは体の中の方の筋肉なので、表面的には見えにくく麻痺があったとしても分かりにくいんです。
なのでリハビリも手足が中心となりやすいんですが、体幹のリハビリはとっても重要です。
なんせ手も足も、体幹から生えているのですから。
手足が生えている大元である体幹がうまく動いていなければ、その先の手足もうまく動くはずがないのです。
…今後もリハビリの内容については触れていきたいと思いますが、今回は長くなってしまったので、ここまでとします。
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